感想「LAMB/ラム」頼むからホラー演出を10倍に増やしてくれ

こんにちは。

ホラー映画大好きで年間50本以上もホラー映画を視聴するせかいひろしです。

本日は、シュルレアリズムを具現化させたで話題の映画「LAMB/ラム」について紹介します。

本作はホラー/スリラー映画なだけに途中から猛烈に心臓がバクバクしてくる演出がふんだんに盛り込まれています。

そんな本作ですが、結論から申し上げますと、かなり評価が分かれる作品でありますが、芸術点やシュールさの中のスリラーさを加味すると、とてもよくまとまっている良い映画だなと感じました。

なんせ、極限まで田舎夫婦の日常をリアルに切り取られて作られた作品なので。

この記事は映画「LAMB/ラム」のネタバレを含んでいますのでご注意ください。

映画「LAMB/ラム」の概要と評価ポイント

監督：ヴァルディミール・ヨハンソン
公開：2022/09/23
本編：1時間46分

本作は、2021年にアイスランド、スウェーデン、ポーランドが共同で制作したホラー/スリラー映画であり、「ローグ・ワン　スター・ウォーズ・ストーリー」などの特殊効果を担当したヴァルディミール・ヨハンソンさんの初監督作品です。

ちなみにオリジナル言語はスウェーデン語です。

本作は、かなり大人向けな作品のため、評価はとても荒れる作品になるだろうなというのが正直な感想です。

なんせ、ホラー映画と宣伝しているのに、ホラーらしい演出はほぼなく、ただひたすらに田舎で暮らす夫婦がシュールな羊君を育てながら不貞を働こうとする義弟と裏で攻防戦がある話なので。

羊人間も最初こそどんな感じなのだろうと、期待感を煽ってきますが、途中から影響力をなくしていくのも評価に影響を与えるポイントですね。

ただ、ラストはなんの前触れもなく巨大羊人間が登場するという衝撃展開になるのでそこの部分だけでも見る価値はある作品です。

私は予告を見ずに視聴したのでダメージはありませんでしたが、すごい高い期待値でホラー作品を見ようと思って本作を映画館で見ると人によっては、後悔するレベルの作品ではあります（笑）

映画「LAMB/ラム」の口コミ

『#LAMB／ラム』とんでもない。“この手”の作品で一番好きかもしれない。キャストの演技、セリフ、音響、音楽、ロケーション、夜闇が訪れない白夜に至るまですべてに無駄がない。禁忌以上のものを見せつけられた。とにかく情報をシャットアウトしてアイスランドの風景に飛び込んでほしい。傑作です。 pic.twitter.com/tV5C0JjY9R

— 葦見川和哉 (@kazuya_movie) September 23, 2022

「LAMB／ラム」(2021年)
淡々と生活していた羊飼い夫婦が、ある日羊から生まれた【禁断の存在】をとりあげ、我が子のように育て始めたことから日常が崩壊してゆく…話？
アイスランドの荒涼な自然を背景に、生物というものへの畏敬が伝わってくる哲学的かつ難解な世界観に浸れる。相当に奇妙な映画。 pic.twitter.com/acITBcvxTz

— 宮岡太郎＠恐怖映画レビュー (@tm19880113) September 14, 2022

『LAMB／ラム』観ましたが、子供のいない夫婦が勝手に羊の子を育てる、ありがたメェ～わくな話。
“奇跡”を“奇跡”と見る。目の前(映画)に起きた事に特別な意味を持たせようとしてしまうのが人間(=観客)で、知った気になって羊(物語)と追いかけっこすると痛い目に遭う。奇跡のような“平凡”な話に驚く。 pic.twitter.com/lMEC5X0iHP

— たにザッケローニ (@Tani_Zaccheroni) September 23, 2022

「LAMB/ラム」微妙というよりバカ映画。厳しく美しい自然のなかで、シリアスに映画は展開する。子供を亡くした酪農家の夫婦が不思議な羊を育てる話だが、羊が伝承上のアレに似ているという欧州の人らしい発想がオチになっているので、羊は可愛いが映画としてどうなんだろうかと頭を抱えてしまう。 pic.twitter.com/m6gb0DiAHn

— よしぼう (@bafkm) September 23, 2022

先日とあるご縁で『LAMB／ラム』を試写で観させていただきました。ホラーかと思いきやツッコミ不在のコントという感じで、何度か声出して笑ってしまいました(恐ろしいことは起こります)。変な映画が好きな方にはオススメです。アダちゃんかわいい🐏 pic.twitter.com/BDqahErArP

— すだ(ナードマグネット) (@pickon103) September 23, 2022

映画「LAMB/ラム」の登場人物／キャスト

ここでは、本作の登場人物を軽く紹介しながら、感想を述べたいと思います。

この章は映画「LAMB/ラム」のネタバレを含んでいますのでご注意ください。

マリア（ナオミ・ラパスさん）

本作の主人公であり、イングヴァルの奥さんです。母の強さがとても顕著に表現されていたキャラでした。

過去に娘を失った悲しみから立ち直れないでいたが、それでもなんとか毎日仕事をこなして少しずつ前に進もうとしていた姿は、多くは語らえませんでしたが心に刺さるものがありました。

ただ、羊が羊人間を産んだときにそれをすんなり受け入れたのは流石に驚きました（笑）

流石に肝が座りすぎです（笑）

中盤から後半にかけては、不貞をはたらきたい義弟とそれを穏便に拒絶したい主人公の攻防戦は本当にヒヤヒヤしましたが、機転をきかし義弟を地下に閉じ込めるだけでなく、そのまま翌朝一で家から叩き出すんですからなかなかに強いです。

さすが羊人間を受け入れることができるだけの度量です。

ただ、ラストの明らかに出血多量で瀕死の夫にとどめをさす揺さぶり攻撃をしたのは驚きました（笑）

最後のやっとクズを家から追い出せた！⇨早く家に帰って旦那と3人で幸せに暮らそう→旦那死亡はかわいそうでしたけどね（涙）

もっと幸せになってほしかったです。

イングヴァル（ヒナミル・スナイル・グヴズナソンさん）

本作の主人公の旦那さんであります。全編を通して、いつ見てもコーヒーを片手に何かしているしか存在感を示すことができなかった、とてものどかキャラです。

本作最大の問題児ペートゥルのお兄ちゃんでもあります。

ただ、車の修理から、自宅の改修、羊の世話に子育てに至るまで一切の不満をこぼさずにこなしていたのはきっと世の奥さんから賞賛の声が届くのだろうなと思いました。

まあ残念ながらラストは、出血多量で亡くなてしまいましたが、それでも物語を通してあまりインパクトを残すことができなかったキャラであると感じました。もしかしたらこれが旦那さんの家庭におけるイメージの暗喩なのかもしれませんね（絶対違う）

ペートゥル（ビョルン・フリーヌル・ハラルドソンさん）

本作の主人公の旦那の弟であります。ただ、全編を通して問題児であり、オブラートに包まずにいうと「クズ男」です（笑）（言葉が汚くてごめんなさい。）

元々バンドマンであったが、酒やギャンブルに溺れ、クズ道を突き進んだキャラクターです。

しかもそれだけに飽き足らず、兄の奥さん（主人公）にもかなり強引に手を出そうとするんですから、救いようのないクズキャラでした。

なんせ、旦那が泥酔し深い眠りに陥っている時にここぞとばかりに序盤で手に入れた主人公の弱みを使って主人公に迫るんですから、本当に救いようのないキャラです。

しかし、そんな彼も唯一評価できたのは、鋼のメンタルでしょう。

• 主人公がお風呂に入っているのを覗き見して「俺に見せるためにドアを開けたんだろう？」と声をかける
• 超ドン引きした顔で拒絶されたのにも関わらず、それでも主人公に手を出す

まあこれらも北欧ジョークなのかもしれませんね（笑）

ちなみに、バンドマンって北欧でもマイナスなイメージのあるキャラ代表なんですね。（笑）

映画「LAMB/ラム」の感想　※ネタバレあり

ここからは、本作品全体に対して私が感じたことを述べていこうと思います。

ネタバレを含みますので、ご注意ください。

頼むからホラー演出を10倍に増やしてくれ

これは、本作全編に言えることなのですが、あれだけ序盤でとんでも映画を期待してしまうホラー演出をしたのにも関わらず、それ以降は中盤の大きな物音以外、全くホラー演出がないです。

せめて本作のラストでしっかりガッツリ登場した巨大羊人間を中盤くらいから登場させてくれればもっと面白いホラー作品になったんだろうなと思うからこそ残念です。

もちろん、本作のスリラーさはしっかり丁寧に描かれていました。なのでスリリングな演出に関しては文句の付け所がありません。

しかし、ホラー映画を謳っているのであれば、もう少しホラー演出を付け加えても良かったのではないかと思えてしまいます。

頼むからシュールレアリズムを極めにいかないでくれ

本作の最も象徴しているのは、序盤の羊人間（主人公の子供）がペートゥル（主人公の義弟）と初めて会うシーンでしょう。

シュールな瞬間って世の中にたくさんありますけど、映画「LAMB/ラム」はその中でも群を抜いていると思いました（笑）

しかも役者さんの演技力が凄まじいだけにリアルすぎる瞬間でした。

確かに人間って意味不明なものを目の当たりにすると、叫んだり驚いたりするよりその状況を理解することに全脳細胞を使いますよね。（笑）

ただ、そのためにホラー映画なのに序盤から申し訳ないけど笑えてしまうシーンが多々ありました。（笑）

本作はホラーなのかスリラーなのかシュールなのかが分からなくなるので、もう少し方向性を決めてほしいと感じましたね。

日常の一部を完全に切り取り映画化させる腕はグッド

本作は、アイスランドの田舎で暮らす夫婦の物語なのですが、全編を通して北欧の田舎のリアルな暮らしぶりが描かれています。

そのため、全編を通して余計なBGMはほとんどなく、生活の一部がそのまま切り取られた映像を楽しめます。

ただ、一方で人によっては退屈さを感じる作品なので、攻めた演出をする監督さんであるなと感じさせてくれます。

腕は確かなので、次回作にも期待したいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか？

これが映画「LAMB/ラム」を見たホラー映画大好き人間の正直な感想です。

正直すぎて少し暴言が混じっていたのはお許しください。

ホラー映画として見ると、がっかりしますが、シュールスリラーとして見るとかなり完成度は高い作品と言えます。

ただ、ホラーを期待して映画館で見るとかなりがっかりする作品ではありますがね（笑）

全体的にとても静かなので映画を見るのに慣れていないと眠くなってくるという点も留意しないといけない作品ではあります。

まあ本記事を読んでいる時点でもう既に手遅れだと思いますけど（笑）

以上っ！